仕事中でも焦らない! ぎっくり腰の初期対応
時と場所を選ばずにやってくる、ぎっくり腰。
ぎっくり腰は最初にどんな処置をするかで、その後の経過が変わってきます。足首などの捻挫にも応用できる知識ですので、自分のために、家族のために、同僚のために、ぜひ覚えておいてくださいね!
何でもいいので固定する
とりあえず何でもいいので、頼りにならなくなった腰を固定しましょう。
一番しっかり固定できるのは腰用コルセットです。ただ、これはお持ちでない方の方が多いと思います。普段の生活では使いませんしね…
そこで代用品として使えるのが、次のアイテムたちです。
- 腹巻(きつめ)
- さらし
- 骨盤ベルト
- スポーツベルト
- ゴムバンド
- ゴム製のベルト(きつめ)
腹巻とさらしは、腰全体をしめつけることで、腹圧を高め腰を守ってくれます。コルセットに近い働きをしてくれるのが、この2つです。
一方、骨盤ベルトやゴムバンドなどには腰全体を覆うほどの幅はありません。こちらはおへその下のあたりに巻きつけ、腰骨(正確には腸骨)を固定して使います。コルセットのようにがっちり腰を固定することはできませんが、一時しのぎには十分かと思います。
痛みのある部分を冷やす
固定ができたら、次は痛みのある部分を冷やしましょう。
負傷して間もない時期や、ズキズキ痛みのする間は、患部を冷やすことで痛みの広がりを抑えることができます。冷やして血管を収縮させることで、セロトニンなどの痛みの物質が無駄に広がるのを防ぐわけです。
ぎっくり腰になった腰を冷やすには、次のようなものがあると助かります。
- 熱さまシート
- 保冷剤
- アイスノン
- 氷嚢
…一部、商品名を書いてますが、類似品でも大丈夫です…
シート状の冷却材は、肌に直接貼って冷やすことができます。ずれる心配がないのがいいですね。ただし冷却時間はほかの物より短くなります。
保冷剤は大体どこの家庭にもあるのではないでしょうか? お菓子の横についてきたような小さな物でも大丈夫です。今は100均でも買うことができますね。手軽ですが、凍らせると固くなってしまうのが難点でもあります。
さて、本命のアイスノン(など)は冷却時間も長く、凍らせてもやわらかいので、さらしや服の上からあててもしっかり冷やせるのがいいところです。ただし常時冷凍庫に入れておくには場所を取るので、当座は他の物で代用した方がよいでしょう。
さて、上記の3点がない場合には最後の砦、氷嚢を作ります。二重にしたビニール袋に氷と水と塩を入れて、しっかり口を閉じればOKです。
お風呂は短めに
ここからは自宅での過ごし方になります。
湯船にゆっくり浸かる入浴法は、日常的にできて効果の高い健康法です。
た・だ・し、それはあくまで「日常」でのことです。
ぎっくり腰になると「温めたら気持ちよさそう」「痛みが和らぎそう」と湯船に浸かりたくなりますが、ここはグッと我慢してシャワーで済ませましょう。どうしても浸かりたくても、長湯はせずに、いつもよりも短めにしてください。
「冷やすことで痛みの物質が広がるのを防ぐ」と先ほど書きましたが、湯船に浸かると、その逆のことが全身で起きてしまいます。つまり、腰で発生している痛みの物質が、温められて拡張された血管に乗って、全身に広がってしまうわけです。すると、お風呂の中では気持ちがよくても、あがって着替えをしている間に猛烈なダルさに襲われることになってしまいます。
ぎっくり腰をしてしばらくは、お風呂は軽めにすませるようにしましょう。
楽な姿勢と服装で寝る
短いながらもお風呂でさっぱりしたら、あとはお布団でゆっくり休みましょう。
就寝時の服装ですが、いつも着ているもので大丈夫です。ただし、寝返りがしにくかったり、体をしめつけるような服装は避けてください。案外に高校のジャージや、短パン&Tシャツ、いいものだとシルクのパジャマ等がよかったりします。もちろんコルセットは外してから寝ましょう!
そして実際に横になってみて、自分が一番楽な姿勢を探してみてください。大体の方は、仰向けよりも横向きの方がラクかと思います。寝返りの練習もしておきましょう。スムーズに反対向きになれますか? 布団が重すぎて動けない〜なんてことにならないようにしておきましょうね。
良質な睡眠は一番の治療薬です。ぎっくり腰になると思うように体が動かせなくなりますが、人の体は15分同じ姿勢をしているだけで筋肉が固まってきてしまいます。大人になると起き抜けに体のこわばりがあったり、逆に寝相の悪い子どもたちの体がやわらかいのは、そういう理由です。普段よりも動きにくい分、就寝時の服装や寝具はできるだけ寝返りを妨げないようにしましょう。
痛くて眠れない時には鎮痛剤の服用も
さて、ようやくお布団にまでたどり着けたのに、痛みでとても眠れそうにない…そんなときは、鎮痛剤に頼ってしまいましょう。
鎮痛剤は脳に働きかけて痛みを和らげるものであり、飲んでも腰がよくなるわけではありません。また常用しすぎると、だんだん薬の効きが悪くなってきてしまいます。できれば飲まずに済ませたいところです。
…が、眠れないくらい痛いのでしたら、たまの鎮痛剤に頼ってもいいんじゃないでしょうか。
先にも書きましたが、良質な睡眠は一番の治療薬です。特に、腰が休めるのは横になって眠っている間だけです。しっかり休息をとって、また明日がんばるためにも、鎮痛剤を飲んでお休みください。
そして時間の都合がつき次第、ご来院をお待ちしております。